小畠宏允(おばたひろのぶ)
小畠宏允(おばたひろのぶ)
石文化研究所所長
NPO法人柳田國男『先祖の話』を読む会理事長
十人の会 代表
1945年福岡生まれ。
花園大学禅学科卒業。
龍谷大学博士課程単位取得。
禅文化研究所および京都大学人文科学研究所に学ぶ。
著書に『禅の語録3 歴代法宝記』(共書、筑摩書房)、『日本人のお墓』(監修・編著、日本石材産業協会)ほか、学術論文、随筆など多数。
事務所
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1-14-8-207

コラム

2013/08

質問、「お墓はタタルと思いますか?」
「イイエ、お墓は絶対にタタリません! 死んだらすぐにわかります!」

 

 

これもお墓の講演会で必ず尋ねることですが、「皆さんはお墓がタタルと思いますか?」というと、自信なさそうにそっと五、六人くらいのひとが手をあげます。

 

「では、お墓はタタラないと思う人は?」というと、こちらは、大体二、三人程度です。

 

そこで「よく判らないと思う人は?」というと、大多数の人が手をあげます。

 

本当は、ほとんどの人はお墓がタタルのか、タタラないのかよく判らないのです。目に見えませんし、実証できないことだからです。

 

私の答えは「お墓は絶対にタタリません!」というもので、いつもキッパリと答えます。
そして「お墓がタタラない理由はみなさんが一番よーく知っているんですよ」と言いますと、ほとんどの人は「はぁー…?」という顔付きになります。

 

「ただ、みなさんはよーく知っているのに、全くそのことに気がついていないだけなんです」というと、更にいぶかしそうな顔をされます。

 

「不思議そうな顔をされてますねぇ。でも、みなさんが死んで、お骨になってお墓の中に入ったら、すぐにわかりますよ!」というと、今度はちょっと当てが外れたように失笑が全体に広がります。中には声をあげて笑う人も何人かいます……。

 

「不吉なことをいってごめんなさい。でもこの世で一番確実なことは、人は必ず死ぬということで、100%の確率で的中します。だから私もあと何年か何十年かしたら、必ず死にます。皆さんもそうですから、あまり気にせずに気軽に聞いてください」とお断りをしておきます。

 

「さぁー、みなさんはもう死んでお墓の中のお骨になっていますよ(笑)。さて世間では、お墓の方角が悪い、建てた日が悪い、墓石にひびや玉模様が大きく入っていると建てた人の家族に不幸が起こるなどといい加減なことを言いますが、では、だれが不幸を起こすのでしょうか? 墓石ですか? いいえ、墓石はタダの石ですからそんな力はありません。では、そんなことをいう墓相家ですか? いいえ、墓相家だってそんなヒマはありません。いうだけ、言いっ放しで終わりです。では、そんな力があるのは誰ですか? もし、そんな力があるとしたら、それはお骨になった故人の霊力だけですねぇ」。

 

「はぁ……」。

 

「それしか考えられないでしょう。皆さんは墓石が勝手に飛んできて、誰かの家族を不幸にするところを見たことがありますか? ないでしょう。そんなことは絶対にありませんから。そうすると、そんな力、霊力はお骨になった人にしかないのです。さあ、ここで考えてください。あなたのお子さんやお孫さんが、あなたのためにお墓を建ててくれて、万一、墓相家のいうように方角や墓石に不都合があったとして、みなさんはもちろんもうお骨になって、つまりホトケさんになっているあなたは、あなたのためにお墓を造ってくれたお子さんや孫を不幸にしますか? 私は絶対に許さん! 必ず不幸にする! という方がいたらちょっと手をあげてください」

 

というと、軽く頭を横に振りながら、誰一人として手をあげる人はいません。

 

「そうでしょ、まず、《ありがとう》って言いますよね。私だってそういいます。つまり死んで、お墓のお骨になっている人の気持ちになって考えたらすぐわかることなんです。私はお墓のことを考えるときはいつも、死んでお骨になったつもりで考えます。そうすると、健全で正しい答えがすぐにわかります。墓相家は決して《お骨の気持ち》のことを考えないで、外観や方角、日にちなど枝葉末節なことで、難癖をつけているだけです。私は、この《お骨の気持ち》が一番大切だと思います。これを《お墓の心》、《お墓の本質》と呼んでいます」

 

というと、みなさん何かほっとした明るい表情になって、軽く何度もうなずいておられました。

 

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